学問のすゝめ

【要約】福沢諭吉著『学問のすすめ』初編・現代語訳

福澤諭吉著『学問のすゝめ』初編の要約です。
本書は、初編から17編まであり、本記事は、その初編の意訳要約となります。

【学問の重要性】

世間には「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名な言葉があります。

仮にそうであるならば、
人は与えられた身体と心を使って、自然のモノを衣食住に活用し、
互いに足を引っ張ることもなく、みんながこの世界で幸せに生きる、

そういったこと思って神様は人間をつくられたのでしょう。

しかし、人間の社会を見てみると、賢い人もいればバカな人もいます。
この差はなんでしょうか。

 

「現実社会の富強と貧弱の差」

広く世界を見渡せば、頭の良い人、頭の悪い人、お金持ちの人、貧しい人、身分の高い人、身分の低い人がいます。
その差は、まるで雲と泥のようであり、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。

現在、教科書として使われている『実語教』にはこう書かれています。
「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」

つまり、頭の良い人と悪い人の違いは、学ぶか学ばないかによって生まれるものです。

世の中には、単純な仕事と複雑な仕事があります。
単純な仕事をしている人を身分の軽い人といって、複雑な仕事をしている人を身分の重い人と言いますね。

複雑な仕事をしている人、例えば医師や学者、官僚、大商人、大百姓などが身分の重い人です。

 

「富強と貧弱の差は学問の差」

身分の重い人は、お金持ちになります。
一般の人から見ると、雲の上の話に聞こえますが、身分の差が生まれるのは学ぶか学ばないかの違いだけです。

お金持ちになるかどうかも運命ではありません。
「天は富貴を人に与えずして、これをその人の働きに与うるものなり」という諺もあります。

生まれながらにして、お金持ちになるとか、貧乏人になるとかは決まっていません。

ただ学問を頑張って、色んな物事を知る人が、立派になりお金持ちになります。
全く勉強をしない人は、貧乏になって、奴隷になってしまいます。

 

【実学を学んで個人は独立すべし】

学問を頑張る人が、立派なお金持ちになります。
頑張らない人は、貧乏な奴隷になります。

この学問とは、実学のことです。

 

「学問の中でも実学を優先すべし」

学問には、色んな学問があります。

難しい言葉や漢字を知ったり、分かりにくい古文を理解したり、和歌を楽しんだり、詩をつくったり色々あります。
これらの文学という学問は、心を喜ばせる便利なものです。

しかし、いま重要なのは実学の方です。
昔から、中国古典の学者で家を立派にできる人は少なく、和歌に精通していて商売が上手な人もいません。

だから親は、子どもが学問に励むことを心配するのでしょう。
それは仕方ありません。学問はすぐに実生活に役立つものではないからです。

 

「優先すべき実学とは」

いまこそ、実生活に役立つ学問を一生懸命に頑張るべきです。
例えば、手紙の書き方や簿記、計算問題などです。

もっと言えば、学ぶべき学問はいっぱいあります。

世界の環境が分かる地理学、万物の特性を理解する物理学、各国の状況を詳しく知る歴史学です。
家庭や国のお金の流れは経済学、コミュニケーションの方法や社会での生き方は倫理学も学ぶべきです。

英語を学んで、海外の本を勉強することも必要でしょう。
社会が必要としているものを学ぶべきです。

 

「実学によって人は独立できる」

これらが実学というものです。
身分に関わらず、人間がみな学ぶべき内容です。

実学を学ぶという心得が大切で、その心得がわかったら、自身の能力を発揮しましょう。
能力を発揮して、仕事に打ち込みましょう。

人は独立しましょう。
家も独立しましょう。
そして、国家も真の意味で独立するべきです。

 

【実学を修めないと社会が悪化する】

学問をするには、分限を知ることが大切です。
人は生まれつき自由ですが、ただ自由自由と叫んで、わがままな人も多いのではないでしょうか。

すなわち、分限を知るとは人の足を引っ張らないことです。

お金がたくさんあっても、好き勝手使ってはいけません。
お酒や異性に溺れるのは、他の人にも悪影響を及ぼします。
それがたとえ、自分が稼いだお金であってもです。

 

「世界の人はみな同じ」

学問を修めることによる独立は、一人ひとりの話だけではありません。
国家の独立にも通じる話です。

国としても本当の意味で独立して、外国と交易をしたり、学び合ったり、助け合ったりしましょう。
どんな国であっても、同じ天と地の間に存在し、同じ太陽に照らされ、同じ月を眺め、同じ空気を吸っているでしょう。

自然の摂理、世の道理に基づいて、恥じることもなく誇ることもなく、お互いがお互いの幸せを祈りましょう。

命をかけて国の威厳を守ることこそが、一国の自由・独立というものです。

 

「国の威厳を保とう」

国家の独立のために、政府が間違ったことをしていたら、遠慮なく議論しましょう。

生まれつきの身分の上下はありません。
国会議員は、国民のために法律を取り扱うから偉いのです。
これは法律が尊いということです。

自然の摂理、世の道理に基づいていたら、命を懸けてでも訴えましょう。これも分限の一つです。

安心してください。
天の道理に基づいていたら、何も恐れることはありません。

身分のために才能・人徳を身につけましょう。
才能・人徳のために物事の道理を身につけましょう。
物事の道理のために字を学びましょう。

これこそが学問を修める重要性なのです。

 

「愚民の上に苛政あり」

学ばないことは、とても悪いことです。

学ばない人は、自分が貧乏になるとお金持ちを恨んだり、グループを組んで乱暴をしたりするでしょう。
社会の法律によって守られていながら、自分の利益のためにこれを破ったりします。
財産がある人でも、子どもを教育することを知りません。
そうすると子どもがわがままになり、ご先祖さまのこれまでの努力も無駄になってしまいます。

「愚民の上に苛政あり」と言います。

悪い人たちが多ければ、政府も悪い政府になる、ということです。
世の中に自分勝手な人が多くなると、政府は力で国民を脅すようになります。
道理を守らない人たちには、そのわがままさを力で縛らないといけないからです。

逆に、世の中に良い人が増えると、政府は良い政策ができるようになります。
みんなが学問を志して、物事を知っていけば、法律を厳しくする必要がありません。

 

【私が学問を勧める本当の理由】

だれが悪い政府を求めるでしょうか、だれが日本が恥ずかしい国になってほしいと祈るでしょうか、そんな人はいません。
日本を良くしたい、そういった気持ちがある人は安心してください。

ただ、自分の行いを正しくして、学問をしっかり修めて、色んな物事を知り、頭の良い善人になってください。
政府はきちんと政治をして、国民が辛い思いをしないようにしましょう。

みんながそういったことを大切にして、平和で幸せな日本を守りましょう。
私が学問をおすすめしているのも、平和で幸せな日本が実現をしたい、その一心なのです。

 

created by Rinker
¥902
(2021/10/23 09:36:32時点 楽天市場調べ-詳細)