書評 - review -

【書評】羽生善治著『捨てる力』は人生の本質に迫った稀代の名著

本記事でご紹介する『捨てる力』は、稀代の名棋士・羽生善治九段の著書。
棋士の優れた直感や思考法は、理化学研究所によってまじめに研究されているほどです。
将棋の世界で培われた価値を、他の分野へ生かそうという試みですね。

また、米長邦雄永世棋聖にまつわる話で
「兄達は頭が悪いから東大へ行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」
という冗談話があることからも、棋士は思考能力に長けていることが分かります。

そんな棋士たちの中でも段違いの成績を残しているのが、『捨てる力』の著者・羽生善治九段です。
本書は、人生の本質に触れる名著であり、将棋に興味がない方でも勉強になる内容となっています。
生き方そのものの根本に迫ったエッセンスが散りばめられていますので、ぜひ身近に置いて何度も読み返していただければと強く思います。

名棋士は自然体を大切にする

本書でも触れられていますが、ある種の高みまで上った人間というのは自然体で生きています。
社会では、ノルマというものが設定されるケースが多分にあります。
営業成績や郵便局員の年賀状自爆など、社会人である以上、成果というものを常に求められます。

自由になりたいと思ってフリーランスになっても、
上司から命令されることがなくなるだけで、毎月の生活費は絶対に稼がなければならないわけです。
つまり、大人というものは常に、なにかしら一定の数字を出し続ける必要があるということです。

ノルマと自然体の関係は、“二つ一つ”のものでもあります。
難しい目標を強制されたとき、人は自然体でいられなくなることもあるでしょう。
しかし、無理には理が無いので長く続きません。

ノルマは自然体のままこなさなければなりません。
逆にいうと、ノルマを達成できる人は自然体です。
卵が先か鶏が先かのような話ですが、自然界では卵と鶏はグルグル回っています。

名棋士は自然体のまま生きることを大切にする

 

ノルマと自然体は「二つ一つ」

ノルマと自然体も同様の働きです。
無理をするといずれ身体に支障をきたします。
ノルマは自然体のまま達成する必要があるのです。

不自然な身体の使い方をすると、目標を達成することが困難になります。
自身の無理な目標は心身が拒み、営業先のお客さんは違和感を抱き、将棋の対局相手はスキを突いてきます。
異性を口説こうとしても、相手はこちらに魅力を感じてくれません。
人は本能的に自然体であることを求めているからです。

 

具体的な例を挙げると、健康のために睡眠時間を一寸の狂いもなく決定するのはやめましょう、ということです。
寝たいときに寝る。起きたいときに起きる。

それができない生活スタイルなら、3年計画でも5年計画でも、ゆっくりと自然体で寝られるように仕事や環境を改善していく。
ノルマに追われているうちは、感情が揺れ動くでしょう。
「そんなこと無理だ。」
「そうは言っても、こうしなければ。」
と不自然さがどこからか湧いてきます。
その不自然さこそが、目標を達成できない原因なのです。

目標を達成できる人は、自然体でノルマをこなします。
無理をした結果うまくいったことがある、という過去の成功体験を捨ててください。
自然の中で生まれた私たち人間は、自然体で生きるときに最大限の力を発揮するのです。

名棋士は「1日何時間は研究」「1日何時間は睡眠時間を確保する」などのノルマを設けない

 

名棋士は同じことを繰り返して成長していく

名棋士は同じことを繰り返すことで、日々レベルアップしています。

将棋で強くなるためにやっていることは、かなりシンプルで、
・棋譜を並べて分析する
・相手を見つけて対局する
・詰め将棋を解く
これだけです。

分かりやすくするために、異性を口説くナンパに置き換えてみましょう。
・恋愛における心理学を分析する
・相手を見つけてナンパする
・ひとりの時間にシミュレーションする

営業では、どうでしょうか。
・営業の成功例を分析する
・上司と営業ロープレを重ねる
・クロージング技術を研究する

 

ここで大切なのは、成果を上げるために重要なことをコツコツ積み重ねていく、ということです。

桜を咲かせたいなら、桜の木に水をあげる、肥をあげるということです。
桜を咲かせるために、犬に餌をやっていたらおかしいですよね。

ですが、「これは桜の木だよ」と教え込まれた木が、アーモンドの木だったらどうでしょうか。
桜の花とアーモンドの花は、素人が見るとかなり似ています。
桜だと思い込んでいたのにナッツができたらびっくりです。

 

世の中の情報は、あなたに最適化されているわけではありません。
だからこそ、「捨てる力」が大切なのです。

いま一度、目標達成のために大事だと思っている行動を見直しましょう。
まったく無駄なことに時間を取られていたことに気が付くかもしれません。
思考の取捨選択は、情報社会で生きる私たちにとって、生涯続けるべきものです。

 

自身の行動を重要なモノだけに絞り、植物が毎日コツコツ成長するように、日々同じことを繰り返して強くなる。
そういった自然なプロセスを辿ることで、人は想像を超える境地に達します。

名棋士は重要なことを繰り返して日々強くなっている

 

羽生善治著『捨てる力』まとめ

名著『捨てる力』は、序章から6章まで、全7章あります。
本記事で触れたポイントは、実は序章だけです。

学ぶことが多すぎて、一回読んだだけでは吸収しきれません。
巷の内容の薄いビジネス本とは違って、『捨てる力』は、繰り返し何度も何度も読んだとしても学びがある、そんな古典に近い名著です。

ぜひ本書を手に取り、身近に置いて、何度も何度も読み返すことを強くおすすめします。
将棋という世界を極めた超人の思考法が、あなたの人生の豊かさを倍増させること間違いなしです。

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