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【要約】松下幸之助著『素直な心になるために』【書評】

「幸せに暮らしたい」「身も心も豊かに過ごしたい」
そう思う気持ちは、多くの人に共通する願いだと思います。

豊かで幸せな生き方を実現するにあたって、絶対に必要となるのが「素直な心」です。

人は往々にして、自己の利害、立場、主義主張に囚われ、他との対立や争いを起こします。
私たちが幸福になる一番の原因は人間関係であり、私たちが不幸になる一番の原因も人間関係です。

 

身体が不自由であろうが、周りに優しくサポートしてくれる人がたくさんいたら、決して不幸にはならないでしょう。
お金が無くて貧乏であっても、周りに生活を懸命に応援してくれる人がたくさんいたら、決して不幸にはならないでしょう。

 

お金や心身に不足があったとしても、本気で助けてくれる人がいたら、人はなかなか不幸にはなれません。

人間の幸福には「助け合える人間関係」が重要なのです。

その尊い人間関係を結ぶのに不可欠なのが「素直な心」です。

経営の神様・松下幸之助はこう言います。

「これまで人間がくり返してきたような好ましからざる姿を少なくして、本当にともどもが和やかに幸せに暮らしていくためには、お互いが素直な心になるということがきわめて大切ではないかと思います。」

 

『素直な心になるために』【要約】

素直な心になると、強く正しく聡明になります。
日本古来から伝えられてきた“直き正しき真心”です。

直き心になれば、賢さも次第に高まり、判断が正確になってきます。
そして強く正しく行動できるようになります。

『素直な心になるために』では、大きく3つのパートに分けて、「素直な心」についてをまとめています。

・素直な心の具体的な内容
・素直な心のメリット
・素直な心の具体的な実践方法

本記事では、その要点をご紹介いたします。

 

「素直な心の具体的な在り方」

素直な心というものは、実は誰もがすでに理解している平凡なものです。

「私心に囚われない」などもどこかで一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。

自分だけの都合に左右されずに、相手の視点でも物事を考えていくと、結果的にお互いのメリットになる、ということです。

 

例えば、商売においても、私心に囚われて行動したならば、「他に損害を与えても自分が儲かればそれで結構」となります。
私心が集まることで、規模が大きくなり、ある程度のお金を得ることができるかもしれません。

しかし、それは社会に損害を与えることになり、回りまわって自社の首を絞めることに繋がります。

 

だからこそ、「私心に囚われない」ことが重要となるのです。

されど「言うは易く行うは難し」です。
実際に社会を歩んでいく中では、ほこりの道を通ったり、泥を被ったりすることもあります。

全く自己の都合を排して、歩んでいくということは不可能に近いものでもあります。

だからこそ、素直な心というものを、事あるごとに再確認し、己に取り戻していく作業が肝心です。

 

松下先生は次のようにおっしゃいます。

「素直な心になれば私心にとらわれることなく、つねに自他とものよりよき姿を実現するためにという基準でものを考え、事を進めていくようになると思うのです」

 

「素直な心のメリット」

人は生きていく中で困難にぶつかります。
挑戦すればするほど、不都合な物事に出くわすことが多くなるでしょう。

そんな難局が表れるとき、それを乗り越えられる人もいれば、それに打ち負けてしまう人もいます。

こういった状況のときにも素直な心は有効です。

 

例えば、会社をクビになってしまったとします。
その時に、「会社の都合で振り回しやがって」と悪態をつき、恨みをつのらせるのか、
それとも、「これは心機一転のチャンスだ」と新しい自分の成長のきっかけとするのか。

その分かれ目が、素直な心です。
繰り返しになりますが、素直な心になると“強く正しく聡明に”なります

 

恨みをもってして、強く正しく聡明に生きられるでしょうか。
恨みをもってして、自身の人生が豊かになるでしょうか。

人は誰しも、直き心、素直な心を備えています。
悪しき心を振り払って、私たちが本来持つ素直な心を輝かせるからこそ、明るい未来を切り開いていけます。

 

困難な道の中でも、そこから明るさを見出し、切り開いていく力の源が素直な心です。

 

松下先生は、次のように仰います。

「つまり、何事によらず、困難に直面して志を失わず、よりよき道を素直に私心なく考え続けていくならば、そこによりよき知恵も集まってきて、今まで考えもつかなかった画期的なよき道がひらけてくるということも考えられるでしょう」

 

「素直な心の具体的な実践方法」

そうした素直な心になるための第一歩は、「素直でありたい」と強く願うことです。
すべては願うことから始まります。

願う心から始まりますが、その願いは強いに越したことはありません。

 

例えば、将棋がうまくなりたいとします。
アプリをインストールしてみたりして、将棋を体験してみます。
駒の動かし方を学んだり、基本的な戦法を実践してみたりします。

ビギナーズラックで最初は勝てるかもしれません。
しかし、壁がおとずれるときが来ます。

全く勝てなくなるときが来ます。

 

ダイエットでもいいでしょう。
色んなダイエット方法を学んでお金を払って実践してみる。

最初は熱い気持ちで頑張れたけど、色んな誘惑に負けて、初心なんか忘れてしまい、結局、元の体型に戻ってしまう。
そんなこともあるでしょう。

 

人間のお決まりのパターンです。
これは人の願いの弱さを表しています。

強い願いからすべては“始まり”ます。
始まるのはいいのですが、それを作業レベルまで落とし込まないと、人間は“続ける”ことができません。

 

松下先生はこう仰ります。

「毎朝の初め、朝おきたときにでも、きまってその願いをかみしめるというような一つの習慣を培う、というようなことが肝要ではないかと思うのです。」

 

重要なのは、強い願いを忘れないために、一つの習慣をつくることです。

素直な心を保つためには、素直な心になれる習慣を作らねばなりません。

お寺の住職が、毎朝毎晩、読経を続けるのも習慣化によって、「悟りの願い」を忘れないようにしているからです。

読経でなくても、掃除などでもいいでしょう。
素直な心になるために、朝夕に例えば玄関だけは欠かさず掃除する、そう決めて実行することが肝心です。

 

『素直な心になるために』【書評】

本書では、素直な心の重要性が様々な視点から語られます。

素直な心というのは、日本人が古来から大切にしてきた直き心と全く同一のものです。
それが時代の波によって、いつしか少しづつ失われてしまいました。

 

実業界のスーパースター・松下幸之助が、素直な心の重要性に行き着いたのは偶然ではないでしょう。
松下先生は、若い頃から親だけでなく子供までをも亡くすなど、かなりの苦労をされています。

そんな苦労の中でも、壮大な偉業を成し遂げられたのは、人間の本質を見抜いておられたからだと感じます。

 

本質を見抜いて、周りをうまくコントロールしたとか、そういった低次元のお話ではなく、
本当に人間にとって大切なことを見つけ、その熱い思いをもってして事を成し遂げられた、という意味です。

 

そういった意味で本書は、読者にとって非常に有益な一冊であると思います。

 

本書ではまず、素直な心の有益さが語られ、その後に実行するための指針が説明されます。

この一冊を実行するだけでも、人生が大きく変わる内容になっています。

もちろん実行しなければ、何の効果もありません。

 

楽しい想像は人に高揚感をもたらしてくれます。
理想の未来を考えるのは楽しいものです。

しかし、それを実際に作業レベルの行動にして、習慣化しないと何の意味もありません。
初詣で神様にどんなお願いをしても、神様に「それでお前は何をするのか」と言われて終わりです。

強い願いと行動、習慣はセットです。
それさえできれば、本書はとても希望に満ち溢れた一冊となります。

 

『素直な心になるために』【感想】

強く正しく聡明に、素直な心になれば、多くのことがうまくいくようになります。

 

素直な心はシンプルです。
「言われたことをやってみる」それだけです。

やってみてダメだったら、ダメだったと伝える。
他の人が失敗しないようにする。

やってみてうまくいったら、うまくいったと伝える。
他の人が成功する上手く導く。

たったそれだけです。
それだけなのですが、自我がこれを邪魔します

 

自分の都合のいいようにしようとします。

自分だけの都合を考えてうまくいくはずがありません。

自然は自然の都合で動いています。
社会は社会の都合で動いています。

 

自分の都合を、自然の都合に、社会の都合に合わせていく必要があります。
そうなったときに本書で語られる融通無碍も実現されます。

自由自在の境地です。
自分の都合が社会の都合と合致するから、まさに自由自在です。

そのための第一歩が、素直な心になる、ということですね。

 

『素直な心になるために』【まとめ】

日本人が古来から大切にしてきた直き心。
その伝承が少しづつ失われ、重要性が認識されにくくなっています。

社会の余裕がなく、なかなか素直な実践が難しいのも現実です。

 

そんな時だからこそ、素直な心を習慣的に願い続けることが重要ではないでしょうか。

少しづつ家族の中から素直さを実行する、友達の中から素直さを実行する、会社の中から素直さを実行する。

 

そして素直な気持ちが社会全体に広がっていく。
社会が直き心で包まれれば、ギスギスした人間関係はなくなります。

温かい助け合いの世の中になるでしょう。
松下先生もそんな社会を目指していたのではないでしょうか。

素直な心を大切にしたいと感じさせていただきました。

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