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【要約】小沼啓二著『ユダヤ式金儲けの「生の声」』【書評】

小沼啓二著『初めて明かすユダヤ式金儲けの「生の声」―「稼ぎ続ける」ユダヤ系ビジネスマンからのメッセージ』の書評です。

小沼さんは経済ジャーナリストであり、特に金融関係において高い分析力・取材力があります。

 

ユダヤ人は能力が高いことで有名です。
世界人口におけるユダヤ人の比率は0.2%ですが、世界のお金持ちの35%はユダヤ人です。

マクドナルド、マイクロソフト、スターバックス、これらもユダヤマネーによって大きくなっています。
中でもマクドナルドはイスラエルを支援していることから、中東諸国では不買運動が起こるほどですね。

 

なぜユダヤ人は世界の富や権力を掌握できるのか。
なぜユダヤ人はお金儲けがとことん上手なのか。

経済ジャーナリストが、そんなユダヤ人の「生の情報」をかき集めたのが『ユダヤ式金儲けの「生の声」』です。

 

『ユダヤ式金儲けの「生の声」』【要約】

本書は、具体的な事例をもとに、身につけるべき価値観がまとめられています。

信用、複利、富を得る原則など、どれも大切なものです。
実例をもとに解説されているので、理解しやすい文章構造となっています。

本記事では、特に重要と思われる箇所をピックアップして、要約とさせていただきます。

 

「お金稼ぎは修行」

ユダヤ人はお金儲けの上手な民族です。

お金儲けというと、拒否反応や罪悪感が生まれる人もいるでしょう。
しかし、お金を稼ぐのには、先見性、勇気、忍耐、人間力など、様々な能力が必要になります。

逆にお金を使うときには、それらの能力は全く不要です。

全く能力がない人間は、お金を“使う”ことはできますが、お金を“稼ぐ”ことはできません。

 

ユダヤ人は流浪の民として、長い年月の間、各国を放浪して生き延びてきました。
偏見の中で生きてきた歴史もあります。

ナチスによる大量虐殺など、迫害されることも多かった民族です。

そんな彼らが重要視するもの。
それは「お金」、ではなく、「教育」です。

 

「最も重要なのは教育」

たしかにユダヤ人はお金を稼ぐのがうまいのですが、お金は奪われてしまうと無くなります。
彼らが大事にしたのは、お金を稼ぐ“能力”の方です。

お金を稼ぐ能力は、頭の中にあります。
その能力を身につけるための方法が教育です。

ビジネスは素人がちょっと頑張ったくらいで儲かるものではありません。
マーケティング力や経営力など様々な能力が必要になります。

 

ユダヤ人は、お金を稼ぐ過程を味わうことで、不安を解消しています。
過去の歴史から、いくら貯金が多くても安心することはできませんでした。

だからこそ、世界的に銀行を支配したり、各国の経済界を支配したりします。
とんでもない額のお金を稼ぎます。それが彼らの安心に繋がるからです。

ここから私たちが学べるのは、「お金よりも教育」ということでしょう。
貯金があることで安心するのではなく、一からお金を稼ぐ能力を身につけることが重要です。

現在の日本社会は、雇用制度など様々な仕組みが崩壊しつつあります。

そういった現代だからこそ、ユダヤ民族から学べることがあるのではないでしょうか。

 

「心地よさから抜け出す」

ユダヤの教えに次のようなものがあります。
「出でよ。お前に向かって。お前の国から、お前の親族から、お前の父の家から、私が示す地の方へ」

これはユダヤの祖・アブラハムが、約束の地・カナンへ向けて旅立つときに受けた啓示です。

私たちは、ともすれば日常の心地よさに安住し、新しいことに挑戦することをを拒みがちです。
今までの生活が保障されないような、大きな目標を立てるのは難しいでしょう。

そんな目標を立てられる人は少ないのが現実だと思います。

 

人間は心の中で「変わりたい」という思いと「変わりたくない」という思いが拮抗しています。
理想と現実は異なるということです。

「出でよ。」という聖句は、あなたが理想とするものへ旅立ちなさい、ということです。
「お前の国から、お前の親族から、、」というのは、家族を捨てろという意味ではありません。

家族や友人、同僚など、いま心地いいと思っている環境にどっぷり浸かるのではなく、
本心を再度確認して、本当に欲しい人生を得る努力をしなさい、ということです。

とても勇気を与えられる教えだと感じます。

 

『ユダヤ式金儲けの「生の声」』【書評】

本書には、経済ジャーナリストの小沼さんが取材した生のユダヤ人の例が数々載っています。

価値観を見直したいときに便利な一冊だと思います。
ただし深さを求める場合は、別の著書を参照すべきです。

 

数々の事例からユダヤの本質を探ることはできます。

しかし、受験生が東大生に一度会って勉強法を教わったとしても、それだけで合格できないのと同じで、
大切なものを見分ける力や身につけて行動の質を高めるには、他にも複合的な学習が必要です。

たしかに、ユダヤ式ビジネスの一端は覗けます。
それ以上のこと、例えば、実際に事業を起こすこと等には、別の情報も手に入れなければいけません。

本書は、日本人が気軽にユダヤの実例を知るのに、便利な一冊だと感じます。

 

富を得る「3つの原則」

お金持ちになる方法で、とても“おもしろくないこと”をお伝えします。

お金持ちになる手順は全くシンプルで、以下の3点です。

・稼ぐことを考え実践する
・賢く投資する
・確実に守る

まったく面白くないですね。
もっと魔法とか手品とか、意外と感じる情報を欲しいものですが、そんなものはありません。

「稼ぐ、投資する、守るこれだけです。

お金は単なる道具であり、それだけを増やすことを求めるというのは、案外つまらない作業です。

 

仕事で自分が成長したり、周りの人に喜んでもらえたり、そういった部分が楽しいのであって、
お金は事業を円滑に回すための単なるツールに過ぎないということですね。

たしかにお金を持つと、周りの人はよいしょしてくれますし、少しの間、優越感に浸ることもできます。

資本主義社会では、お金持ちは尊敬のまなざしで見られることが多いでしょう。

ただし、それは人を尊敬しているのではなく、その人の持っているものや、能力それ自体を羨んでいるだけです。

その羨みはいつしか妬み恨みに変わることもあり、お金持ちになることのデメリットもまあまあ大きいものです。

 

『ユダヤ式金儲けの「生の声」』【まとめ】

本書は、ユダヤ式ビジネスが大切にしている価値観を一通り味わえる一冊です。

どれもビジネスにおいて大切なことですし、なかには意外と思われる価値観もあります。

流浪の民・ユダヤ民族の能力が高いその裏側には、大変な苦労があったことも分かります。
ユダヤ人だけでなく、古今東西の偉人から、その優れた点を学び、成長していきたいですね。