書評 - review -

【書評】暴力社会から調和社会へ、安冨歩著『ドラッカーと論語』

『ドラッカーと論語』は偉大なる東大教授・安冨歩先生の御著書です。

安冨先生は天才ですね。

『ドラッカーと論語』では、ドラッカーの『マネジメント論』の本質が、これでもかというくらい炙り出されています。

 

マネジメント論はビジネス業界でよく利用されることから、
会社の利益を拡大させる方法、そのための社員管理理論、等という見方も多いですが、これは全くの誤解です。

 

マネジメント論とは、全体主義思想に対抗するための思想論です。

 

「協調性」という名の同調圧力を用い、「空気の読めない」人間を徹底的に攻撃する。
「個を蔑ろにして全体の利益を求める」そんな思想に対抗して作られた理論がマネジメント論です。

 

ドラッカーは、私たちが権力者から「前にならえ!」と言われたときに、「前にならわない」方法を教えてくれます。

強制的な同調圧力の苦しみから、私たちを解放してくれるのが『マネジメント』なのです。

 

マネジメント論は日本のブラック社会に対抗できる唯一の武器

マネジメントとは、単純に和訳すると“経営”です。
また個人に置き換えると、“日々の営み”となります。

 

ドラッカーの望んだことは、個人の強みを社会の利益へ昇華させることができる世界の実現です。

組織の利益のために個人を蔑ろにするブラック企業とは一線を画します。

 

マネジメントとは、企業の利益を最大化させるための社員管理法では、決してありません。

組織は、「個人の強みを社会に提供するための道具にしか過ぎない」というのが前提条件です。
あった方が便利だから、組織というものをこしらえる、ただそれだけです。

 

その組織を正しく運営するための方法が「マネジメント論」であり、
個人がより自由に、その強みを発揮するために、組織はどうあるべきかをドラッカーは問いかけます。

 

マネジメントが機能しなくなると、組織は暴走します。
ハラスメントという暴力が組織全体に広がり、そこに所属する人々は疲弊しきるのです。

ときには自死という大惨事も起きます。

 

組織の在り方を間違えると、全体主義への道が開かれます。
個人は単なる組織の歯車となり、人々のコミュニケーションは断絶されます。

その成れの果てがナチスによる大虐殺です。

 

現代日本でも毎年、多くの人が自ら命を絶っています。
その背景には、日本社会が戦後から引きずっている全体主義思想がどうも見て取れるのです。

苦しいという声すら上げられない人が、未だに社会によって大量生産されています。

 

マネジメント論は、日本社会を「同調圧力」の苦しみから救ってくれます。
個人の自由を破壊する「同調圧力」を抑え込む唯一の武器なのです。

いじめ問題、LGBT問題、日本社会の数ある問題は、大多数が「組織が正しく運営されていないこと」により起こるものです。

 

ドラッカーのマネジメント論は、私たちの思考体系を根本から覆します。
安富先生は、その本質を『ドラッカーと論語』で明らかにされました。

どうかドラッカーの正しいマネジメント論が普及して、個人の強みがそのまま実現される社会が到来することを切に願います。

 

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