書評 - review -

【書評】『よくわかる日本神道のすべて』拍手の回数から古代日本人の死生観まで【神道とは】

『よくわかる日本神道のすべて』は、山蔭神道の山蔭基央管長の著書です。
シンプルなタイトルとは裏腹に、日本神道の奥深さを味わえる品の良い手引書となっています。

元来、神道は庶民のものでした。
人々の個人的な体験を最大限尊重し、身の回りの一切、自然のすべてに神を見出し、すべてを大事なものとして扱います。

そこにあるのは厳格な儀式ではなく、「私」の人生を精一杯よろこぶ、謳歌する、踊って歌って楽しむ、そんな陽気さです。

世に溢れる為政者の権力維持のために作られたカルトシステムとは一線を画すものです。
現代日本では、宗教そのものが毛嫌いされる気配もあり、古くから日本人が大切にしてきた価値観が失われつつあるのも事実です。

カルト的な思想が蔓延するこの社会で、どうぞ大切なものを大切にできるよう、正しい知識を身につけていただきたく思います。
本書は、必ずやその一助になるでしょう。

 

神社にお参りするときの作法

神社に参拝するとき、現在は、神様に手を打つ回数が2回とされています。
境内の掲示板に「二礼二拍手一礼」が正式な作法です、と掲げている神社も多いですね。

二礼二拍手一礼が、古くより伝わる伝統的なものと感じられている方もいるかもしれません。
しかし、二拍手が規定されたのは明治8年の「神社祭式」というルール本からです。
昭和の頃でも、まだ庶民に完全に浸透しているとは言い難く、平成の頃に常識となった印象を受けます。

 

神の仕事に勤められている方なら「二礼二拍手一礼」に少し違和感を覚えるはずです。
神前の作法に於いて、二礼するのは仰々しさがあります。
二礼するのは、玉串奉献やお社の開扉など特別な場合です。

また二拍手に関しても、伊勢神宮の祭事は八拍手です。
古神道のある一派では二拍手の間に微手(しのびて)という強く打たない拍手を挟んで三拍手、
古神道の諸流派では四拍手を二度の八拍手であり、
「天津神系は八拍手、國津神系は四拍手、いずれとも分からぬ神系は二拍手」という説もあります。

 

作法に囚われすぎない神道の価値観

ここで重要なのは、作法、ルール、マナーに振り回されないことです。
コロナ渦中の日本では、「自粛警察」と呼ばれる行動が相次いぎました。
ルールを守らない人間を、正義の名のもとに懲らしめる運動です。

その中で、神道は私たちに正義などないことを教えてくれます。
正義は教義から生まれます。神道に教義はありません。

自粛警察は、ルールを守る真面目な人です。
ですが、神道はそのルールより大切なものを大切にしています。
自然に神を見出し、人に神を見出します。

 

人類が共同体を運営していく中で、もちろんルールやマナーは大事なことです。
『魏志倭人伝』によれば、倭人は、目上の人に会えば拍手を打って拝をした、とあります。
拍手を打つのは日本人のマナーでした。
しかし、重要なのは厳格な拍手の回数云々ではなく、拍手の奥にある相手を貴ぶ心そのものではないでしょうか。
ルールという名の教義に振り回されて、陽気さを失うことこそ人生にとっての大きな損失です。

 

神道における陽気と陰気

神道では「忘れることを忘れるな」といいます。
人生で大切なことは「忘れること」です。

社会の決まり事に厳格になるあまり怒りを抱いたり、悲しみや恨み、辛みを記憶に刻み込むと病気になります。

現代医学風に云うと、陰気は血液を酸化させます
その酸化した血液が、人の内臓機能を悪化させ、弱い身体の箇所から病気となって現れ出てくるのです。
病いの元は心からといいますが、陰気な心は生きる上で非常に危険です。

 

人は苦しかったことや辛かったことを忘れ去る不思議な力を持ってます。
だからこそ、失恋で苦しんだ乙女もまた恋することができるのです。

 

忘れるという機能が無ければ、人の怨念は凝固し、身上に障ることになります。
人の心にほこりが散り積もっていくと、ほこりからできた心のシミは妄想を生み出し、妄想が信念化されると生き方に悪い癖ができます。

清く正しく生きるためには、つとめなど瞑想による精神統一で、浮き出てくるほこりを払うことが重要です。
自身の心に刻まれた陰気を炙り出し、断ち切って忘れ去るということです。

神道は「あな天晴」と笑って人生を楽しみます
そのためにも「忘れることを忘れない」ことは大切です。

 

山蔭基央著『よくわかる日本神道のすべて』まとめ

人類は世界大戦を経験しました。
植民地政策によって大繁栄を遂げたように見えた帝国主義は、世界征服の野望のまま暗闇を突き進み、地球上で熾烈な戦争を繰り広げました。

その結果、人は争うことに疲れ切り、欧州ではEUという大きな家をつくることで、平等自由社会を地上に形成しようとしています。
神道の価値観からすれば、ただの原点回帰ですね。

高次元の神界では、修理固成、改革普請の神業が寸暇を惜しんで行われています。

この世の社会でも、「から」という独裁者グループが排除され、「にほん」という平和社会が実現されつつあります。
いまこそ神道の価値観、伝統的な日本人の信念が世界に理解される旬の時です。

 

いま辛い経験をしている方たちも、必ずや笑顔になれる、そんな世界がすぐそこまで来ているのです。

社会の安寧から個人の幸福まで、神道は問題解決の答えを用意しています。
ぜひ本書を手に取り、「神ながらの道」へ陽気な一歩を踏み出してみてください。