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【仏教から学ぶ】読書の価値を一気に高める「アウトプット読書術」3つの基本【話す・書く・行動する】

私たちが読書をしたとき、読んだ本を「役に立つもの」「価値の高いもの」にするためには、読了後のアウトプットが欠かせません。

そもそも「価値がある」とは、どういうことでしょうか。

例えば、山に上った時に波模様の地層を発見したとします。

原始人は、その模様を見て「神の芸術作品」と感じるかもしれません。
義務教育を受けた現代人は、「この場所が昔は海の中だった証拠かもしれない」と考えることができます。
地質学者は、その模様を「波の痕跡であるリップルマークである」と断定するでしょう。

波模様の地層は、山の上にただあるだけです。
しかし、それを見る人の知識と解釈によって、波模様は様々な存在へと変化します。

これが東洋哲学で云う「関係が存在を生む」現象であり。
釈迦が語った「縁起」そのものです。

重要なのは、私たちの知能によって、私たちの中身によって、宇宙の存在は変化するという点です。

つまり、自分の内側に価値があれば、目の前の存在は価値あるものとなる、ということです。
自分の中に大切なものを積み上げていく行為が、世界の価値を生むのです。

読書は、価値の構築作業です。
自身の心の中に大きな家を建築します。

リフォームしたり、増築したり、
今の小さな家を解体して、豪邸を立て直したり、
自分の好きなように、やりたいように、素敵な家を作ってください。

みんなが幸せになる家を楽しく作る、その作業こそが「アウトプット読書術」です。

本のことを身近な人に話す

読書学習の効率を高める方法は、身近な人と本の内容を話すことです。
人とのコミュニケーションは、脳を大いに刺激します

人間が会話をするとき、脳の中では前頭葉をはじめ、言語理解や感情を制御する領域が活性化されています。

私たちは、話せるのは当たり前のことと思っているので、普段は会話のすごさを認識できません。
しかし、自分が赤ん坊だった頃を想像してみると、そのすごさが理解できます。

生まれたばかりの赤ちゃんは、言葉を話せません。
周りの大人の言葉をずーっと聞いているうちに、なんとなく単語を話せるようになってきます。
そして、意味のある文章を話せるようになり、伝えたい複雑な概念を話せるようになります。

脳におけるコミュニケーションのシステムは複雑です。
会話能力を身につけるのは、想像以上に大変なのです。

赤ちゃんが会話能力を身につけるときに利用する武器は「好奇心」です。
好奇心は脳の大きな原動力であり、困難な目標も好奇心があるからこそ達成できます。

逆に言うと、好奇心があれば困難な目標に対して難しいと感じません。

赤ん坊だった頃の私たちも、ただ話したい一心のみで、「あー」とか「うー」とか言うのでしょう。
最終的には、「話せるなんて当たり前じゃん」という顔をしながら、日常会話を楽しんでいます。

アウトプット読書術においても重要なのが「好奇心」です。
読んだ本のことを人に話すと脳が活性化されて、本の内容が頭に定着します。

それに加えて肝心なのは「楽しそうに話すこと」です。
自分が本のことを楽しんで話すと、相手も好奇心が活性化されて、話す内容に深みが増します。

自分と相手との相乗効果で、自分だけでは観えなかった「新しい発見」にも気づかされます

キーワードは「好奇心」。
これを意識して、本のことを身近な人たちと話してみてください。

本の内容を人に話すことで読書好奇心を倍増させる

 

本の中で気になったポイントを書く

メモをしながら本を読むのも、読書効率を高める一つの方法です。

文章を「書く」と前頭前野が活性化されるのは、本の内容を人に「話す」のと同じですが、
「書く」「メモする」ことのメリットは、記憶力が向上する点です。

本について誰かに話すときは、ある程度読み終わってから会話することになるでしょう。
ですが、メモなら完全に自分のペースで、「読みながら書く」ことができます。

読みながら書いたり、気になったところをメモしたりする際に、記憶を司る脳の海馬という部分が活性化します。
この海馬という部分が働くことで、記憶力が強くなるというわけです。

また、自身の手を使うことで能動性が上がるのもメリットの一つです。

人は、世の中の常識や他人の意見で左右されるもの。
能動性が上がると、自分で自分の人生をコントロールできるようになります。

読書におけるメモ習慣は、感想文を書く時にも役立ちます。
学校では、読書感想文がよく課題として出されるでしょう。

でも、「読書感想文は苦手」という声をよく聞きます。
その理由は簡単で、「書き方を教えられる先生がいない」だけです。

読書感想文を書くのは、とても簡単なことです。

1、まず課題図書などの中から本を選びます。
(その本を選んだ理由もノートにメモしてください。)

2、次にメモしながら読んでいきます。
(※最低でも三ヵ所は気になったところをメモします)

3、読み終わったら、その本を選んだ理由のメモを見ながら、
読む前と読み終わった後の自分の心の変化をノートに書きます。

これだけです。
あとは、本を読んでいて気になったところを、大事なものから順番に並べ替えます。
そして優先順位の高いものから3つだけを残します。

これを上から順に、
1【選んだ理由】
2【心に残った箇所】
3【読んだ後の自分の心】
と並べて、日本語がおかしくならないように、適当に繋げて完成です。

読書感想文を書けるか書けないかは意外と大切です。
「一定の情報をまとめて、自分が感じたことを人に伝える能力」だからです。

書き方を教えられる先生が少ないのは問題なのですが、
そもそも日本人があまり本を読まないので、先生たちもあまり本を読んでいません。

日本人の読書量は、以下の記事でお伝えしました通り、月に7冊以上の本を読む人の割合がたった3%です。

「1日1冊必ず読む」読書習慣を身につけるための3つの方法世間で「年収1000万円」というと、かなりの高給取りでしょう。 事実、年収1000万円を超える人の割合は、全体のわずか5%。 資本主...

 

書くことはとても大切なことなので、ぜひこの機会にメモの頻度を増やしてみてください。
メモを習慣にすると、人に話を伝えるのが圧倒的にうまくなります。

読書中に気になった箇所をメモすることで学びが加速する

 

本の内容を実際に行動してみる

読書をする上で最後に大切なのは、「実際に行動してみる」です。

競争戦略のバイブルである「ランチェスター戦略」では、人間の学びの段階を以下としています。

知る→わかる→行う→続ける→できる→教える→成長する

ランチェスター戦略の深い意味合いは、他の記事に譲りますが、
大切なのは、「理解している」と「理解しているつもり」は大きく異なるということです。

重要なのは身体性を伴う体感であり、実際に行動してみることで、本に書かれていることの真の意味が分かることもあります。

読書をすると新たな未来が開かれます。
今まで盲点だった「新しい選択肢」が目の前に提示されることになるのです。

「本の内容を実際に行動してみる」というのは、新しい選択肢に一歩進むということでもあります。

道が目の前に見えていても、歩いたことのある人間にしか、その道の価値は分かりません。
絵に描いた餅では、餅の本当の味を知ることはできないのです。

実際に行動してみると、それの味わいを感じられます。
注意点は「素直さ」です。

本の内容を最大限活かすためには「素直さ」が必須です。
この「素直さ」は少しテクニックが必要なのですが、本を読むときは“著者”の視点から読みます。

一旦、“自分”というものを脇に追いやって、“著者”になりきって“著者”の立場から読むのです。

人は生きていく中で、様々なことを経験し、自分独自の「癖性分」が身についてしまっています。
この癖性分が視野の偏りを生み、その視野の偏りが人生を独善的なモノに貶めます。

人が何か物事を学ぶ際に、一番邪魔になるのが自身の癖性分です。
癖性分は、視野の偏りを発生させるので、盲点が広がってしまいます。

純真な子供心では、世界の様々なことに対して好奇心を抱くのに、
人は大人になるにつれ、心にほこりのような煩悩が積み重なっていき、
ついには、そのほこりで自分が大切なものまで見えなくなってしまうのです。

ですから、読書などで何かを学ぶ際には、自分の視点の偏りである「認知バイアス」を消し去る必要があります。
その方法が、「素直さ」であり「著者の視点に立って読む」です。

本を書いたのは、当たり前ですが著者です。
著書の世界観を構築したのは著者であり、著者の視点に立って読むことが、最大限その本の内容を吸収することに繋がります

また著者の視点に立つことで、本に書いてある内容を無理なく実践することができるでしょう。

著者の視点で本の内容を実際に実践してみる

 

「アウトプット読書術」3つの基本まとめ

・本の内容を人に話すことで好奇心を倍増させる
・読書中に気になったポイントをメモする
・著者になりきって行動してみる

以上が、読書の価値を一気に高める「アウトプット読書術」の根本です。

アウトプット読書術を身につけると、読書の数だけ自分の視点が増えていきます。
人間は生きるうちにどうしても独善的になっていく傾向があるようです。

いわゆる「老害」と呼ばれる人は、“学ぶこと”を怠った姿の成れの果てです。
人は素直に世界の様々なことから学んで、常に成長していく必要があります。

また、その成長は新たな自分を発見する行為でもあり、人生に充実感を与えてくれるものです。
ぜひ本記事でご紹介した「アウトプット読書術」を実践し、あなたの人生を色鮮やかなものとしてください。

 

参考論文
廣谷定男「「聞くと話す」の脳科学——脳における音声生成と知覚の間の相互作用——」(『日本音響学会誌73巻8号 2017、p509–51』)
「読書行動を支える認知的メカニズム(II)─読書行動に関する尺度の検討─」(『同志社女子大学生活科学Vol. 46 2012 p29-35』